Celebrating Music of the Celebration of Japanese Imperial 2600 (Mono)
皇紀2600年の奉祝音楽集成 4月29日は「昭和の日」 今ふりかえる昭和「玉音放送」付
碩学片山杜秀氏(慶應大学准教授)による30ページ弱におよぶ詳細な解説書も秀逸。また、ボーナストラックに市販CD初となる昭和天皇即位を記念して作曲された近衛の貴重な交声曲(第1楽章は未録音)。また、新マスタリングにより一層玉声が鮮明になったNHK提供の音源「玉音放送」など、思い切った大集成でございます。なおSPの復刻はオーパス蔵が担当しており万全。
紀元2600年奉祝音楽について
終戦まで紀元といえば日本では皇紀で、皇紀とは明治政府によって国の紀元として正式採用され、「日本書記」の記述に従い神武即位の年を元年としたものです。皇紀では西暦1940年が2600年という大きな区切りにあたっており(因みに本年は皇紀2671年)日本政府はこの年を明治維新以来の近代化の成果を全世界に問う特別な1年にしようとし、東京ではオリンピックや万博も開かれるはずでありました。この記念すべき年の祝賀行事の一環として「紀元2600年奉祝楽曲演奏会」が開かれました。近衛文麿を首班とする政府はアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ハンガリーの6ヶ国の政府に作曲家の斡旋を依頼。アメリカは拒否しましたが残り5ヶ国は応じました。
その中で今や有名曲のイギリスのブリテン「鎮魂交響曲」は締め切りに 遅れたのと作品に祝典性が認められないとの理由で曲目から外されました。ちなみにブリテンの作曲料は7000円。当時天丼が50銭という物価でありました。また演奏会のためには160人からなる新響(現N響)を中心としたオーケストラが結成され、なんと齊藤秀雄(本番は齊藤は振らず)の指揮のもと30回以上のリハーサルを積んでのぞみました。ここに収録されたのは、東京と大阪のコンサートの間に録音されたもので、日本のオーケストラ史にとってもかけがえのない貴重な記念です。
=曲目=
・R.シュトラウス (1864-1949):皇紀2600年奉祝音楽
・ピツェッティ (1880-1968):交響曲 イ調
・イベール (1890-1962):祝典序曲
・ヴェレシュ (1907-1992):交響曲「日本の皇紀2600年へのハンガリーからの贈り物」
=ボーナストラック=
・近衛秀麿(1898-1973):大礼奉祝交声曲
皇紀2600年に12年先じる1928年の昭和天皇即位の大礼を祝して作曲されたカンタータです。一般市販のCDとしては初のCDとなります。
・玉音放送
NHKから音源提供され新たにマスタリングがほどこされております。
アーティストについて
=演奏家について=
・ヘルムート・フェルマー (1902-1977)
ドイツの指揮者。38年来日。東京音楽学校教授。戦後カッセル歌劇場、ヴッパータール歌劇場で活躍。
・ガエタノ・コメリ (1894-1977)
イタリアの指揮者。27年に来日して東京に定住。戦後は藤原歌劇団を指揮して歌手の育成に貢献した。
・山田耕筰 (1886-1965)
日本の作曲家・指揮者。日本を代表する音楽家で4年間ベルリンに留学。カーネギーホールでも自作演奏会を開くなどで戦前戦後を問わず活 躍した。
・橋本國彦 (1904-1949)
日本の作曲家・指揮者。東京音楽大学教授。34年渡欧。作曲の弟子に芥川也寸志、團伊玖磨、黛敏郎などがいた。橋本自身も皇紀2600年奉祝曲として交響曲第1番を作曲している。
・近衛秀麿 (1989-1973)
日本の指揮者。五摂家近衛家の出身で子爵。兄文磨は公爵で首相をつとめたこともある政治家。23年に渡欧し、ダンディに作曲をE.クライバー、ムックなどに指揮を学ぶ。N響の生みの親とされ、日本の交響楽運動の父。
R. Strauss : Celebrating Music in Imperial 2600
Pizzetti : Symphony in A
Ibert : Ouverture de Fête
Veress : Symphony No.1
Helmut Fellmer – R. Strauss
Gaetano Comelli – Pizzetti
Kosaku Yamada – Ibert
Kunihiko Hashimoto – Veress
Symphony Orchestra for the Celebration of Imperial 2600
Recorded on 1940
(Bonus)
Konoe : Cantata “Tairei-hoshuku” – 2nd, 3rd and 4th movements
Hidemaro Konoe
Satoko Matsudaira – Soprano
Yoshiko Sato – Mezzo Soprano
Eiichi Uchida – Baritone
New Symphony Orchestra, Tokyo
Vocal Four Chorus
Recorded on 1928
“Gyokuon-housou” (Radio broadcast on15 August, 1945 announcing the end of the war)
【ALT103/104】(2011/5/24)